副業の住民税は普通徴収に|申告書の書き方とバレない条件
最終更新日: 2026年7月31日
副業でSTORESのネットショップをやっていると、確定申告の時期に必ずこの不安にぶつかります。「これ、確定申告したら会社に副業がバレるんじゃないか」。
調べると「住民税を普通徴収にすればバレない」という説明はたくさん出てきます。でも「確定申告書のどこにチェックを入れるのか」「本当にそれだけで防げるのか」まで具体的に書いてある記事は意外と少ないんですよね。
この記事でわかることは3つです。
- 確定申告書のどの欄に、どうチェックを入れれば住民税を「自分で納付」にできるか
- 「自分で納付」を選んでも普通徴収にならない・会社に伝わってしまうケース
- 住んでいる自治体によって対応が違うポイント
結論から言うと、STORESのようなネットショップの売上(事業所得・雑所得)なら、確定申告書第二表の「自分で納付」にチェックを入れることで、住民税を普通徴収に切り替えられる可能性が高いです。ただし「絶対にバレない」とは言い切れません。副業の形態や自治体の運用によって効かないケースがあるからです。この記事では、その「効かないケース」を国税庁・総務省・自治体の公式情報で確認できた範囲で具体的に書きます。
私はSTORESでネットショップを運営している個人事業主です。STORESの確定申告のやり方は別記事にまとめましたが、住民税の徴収方法は税金の話の中でも自治体ごとの運用差が大きく、検索しても情報が古かったり自治体名が書かれていなかったりするものが多い分野です。この記事は国税庁の確定申告書等作成コーナー、総務省、実際の自治体の公式ページで確認できたことだけを書いています(2026年7月31日時点)。
そもそも住民税の「会社バレ」はなぜ起きる?
結論:会社は毎年5〜6月に届く「特別徴収税額決定通知書」の金額で気づきます。副業分の所得が上乗せされると、給与だけでは説明がつかない税額になるからです。
会社員の住民税は、原則として給与から天引きされる「特別徴収」という方法で納めます。毎年5月頃、会社(給与の支払者)宛てに、従業員一人ひとりの住民税額が書かれた「特別徴収税額決定通知書」が自治体から届きます。経理担当者はこの通知書を見て、6月分の給与から天引きする税額を確定させます。
ここで、副業の所得も合算されたままの住民税額が通知書に載っていると、「この人の給与水準にしては税額が高いな」と気づかれる可能性があります。これが「住民税で副業がバレる」と言われる仕組みです。マイナンバーで所得そのものが会社に通知されるわけではなく、あくまで税額という結果から推測されるという点がポイントです。
この仕組みを踏まえると、対策の方向性は1つです。副業分の住民税だけを、会社の天引き(特別徴収)から切り離して自分で納める(普通徴収にする)こと。次の章で、その具体的なやり方を見ていきます。
確定申告書のどこにチェックを入れる?【第二表の実物ベースで解説】
結論:確定申告書第二表「住民税・事業税に関する事項」の中の「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」欄で「自分で納付」を選びます。
国税庁の確定申告書等作成コーナーには、この欄について次のような案内があります。
給与・公的年金等に係る所得以外(略)の所得に対する住民税については、徴収方法を選択することができます。給与から差し引くことを希望する場合には、「特別徴収(給与から天引き)」を選択し、また、給与から差し引かないで別に窓口等に自分で納付することを希望する場合には、「自分で納付」を選択します。
国税庁「確定申告書等作成コーナー」よくある質問 住民税の徴収方法の選択(令和7年分申告)
紙の確定申告書で書く場合も、e-Taxで作成する場合も、探す場所は同じです。
| 申告方法 | 該当箇所 | 選ぶ選択肢 |
|---|---|---|
| 紙の申告書(第二表) | 「住民税・事業税に関する事項」の中の「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」欄 | 「自分で納付」に丸をつける |
| 国税庁 確定申告書等作成コーナー(e-Tax・書面印刷どちらも) | 住民税に関する事項の入力画面 | 「自分で納付」を選択 |
| 会計ソフト(freee・マネーフォワード・やよい等) | 各社の確定申告書作成画面内、住民税の入力ステップ | 「自分で納付」または「普通徴収」を選択 |
注意したいのは、この欄が選べるのは「給与・公的年金等に係る所得以外」の部分だけという点です。国税庁の同ページには、給与所得だけの人については「原則、特別徴収(給与から天引き)によるものとされており、住民税の徴収方法は選択できません」ともはっきり書かれています。つまりSTORESの売上のような事業所得・雑所得の部分は選べますが、そもそも給与所得の部分はこの欄では選べません。この違いが、次の章で説明する「効かないケース」に直結します。
「自分で納付」を選んでも普通徴収にならない3つのケース
結論:①副業が給与所得(アルバイト等)②副業以外の所得がマイナス③控除額が所得を上回る、この3つでは「自分で納付」を選んでも意図通りになりません。
①副業がアルバイト・パートなど「給与所得」の場合
ここが一番の誤解ポイントです。副業がネットショップの運営(事業所得・雑所得)ではなく、掛け持ちのアルバイトやパートなど「もう1つの給与」の場合、「自分で納付」を選んでも効かない自治体が増えています。
東京都足立区の公式ページには、次のような案内があります。
令和5年度の住民税(令和4年中の所得に対する住民税)以降、2社以上のお勤め先から給与の支払いを受けている場合の給与に対する税額の納付方法につきましては、すべての給与を合算して税額を計算し、給与に係る住民税をすべて主たる給与の事業者(特別徴収義務者)から特別徴収(給与から差し引き)となります。(略)「自分で納付」を選択された場合でも、副業などの給与から生じる住民税についてはすべて主たる給与の事業者(特別徴収義務者)から特別徴収。
足立区「給与や所得が複数ある場合の住民税の徴収方法について」
根拠は地方税法第321条の3で、「前年中の給与所得に係る所得割額及び均等割額の合算額は、特別徴収の方法によって徴収するものとする」と定められているため、と説明されています。つまり複数の勤務先から給与をもらっている場合、給与部分の住民税をバラバラの方法で徴収することは、法律上そもそも想定されていません。「自分で納付」の欄はあくまで「給与・公的年金等以外の所得」に対する選択肢であって、2つ目の給与そのものを対象にはできない、という理屈です。
STORESでネットショップを運営している人の副業所得は、通常は事業所得か雑所得なので、この①には当てはまりません。ただし「本業の会社員+副業のアルバイト+ネットショップ」のように給与の副業を掛け持ちしている人は、ネットショップ分は普通徴収にできても、アルバイト分の住民税は防げない可能性が高い、という点は知っておいてください。
②③副業以外の所得がマイナス/控除額の方が大きい場合
これも足立区の公式ページに明記されている例です。「自分で納付」を選択していても、次のケースでは普通徴収の税額そのものが発生せず、結果的にすべて特別徴収の通知書に記載されます。
- 給与以外の所得(事業所得・雑所得など)がマイナスの場合
- 源泉徴収票に含まれていない所得と控除を確定申告書に記載した場合で、「所得から発生する税額」より「控除で差し引かれる税額」の方が大きい場合(例:雑所得20万円に対して医療費控除30万円など)
- 特定口座(源泉徴収あり)内の上場株式等について、確定申告で所得税・住民税を清算する場合
ネットショップが黒字なら②はまず気にしなくて大丈夫ですが、開業初年度で仕入や機材の支出がかさんで赤字になった年は要注意です。赤字の年は普通徴収の税額自体が発生しないため、「自分で納付」を選んでいても実質的には関係なくなります。もっとも、赤字の年はそもそも住民税の増加による「会社バレ」も起きにくいので、実害としては小さいケースです。
住民税に関する事項を書き忘れるとどうなる?自治体で対応が違う
結論:「自分で納付」の欄に何も書かなかった場合の扱いは自治体ごとに違います。「未選択なら普通徴収」だった時代の情報のまま止まっている記事も多いので要確認です。
ここは検索してもあまり具体的に書かれていない部分です。足立区の公式ページには、こう明記されています。
令和5年度までは普通徴収としていましたが、令和6年度以降は特別徴収とします。
足立区「給与や所得が複数ある場合の住民税の徴収方法について」(徴収方法を選択されてない場合)
理由として、地方税法および区の条例で「給与以外の所得に係る税額は給与所得に係る税額に合算して特別徴収とする」と規定されていること、また未選択で普通徴収の通知を送った後に「特別徴収に変更してほしい」という問い合わせが多かったことが挙げられています。
つまり、「何も書かなければ普通徴収になる」という理解は、少なくとも足立区では令和6年度以降は当てはまりません。他の自治体でも同様の運用変更が進んでいる可能性がありますが、これは自治体ごとの条例・運用に基づくものなので、全国一律のルールとしては断定できません。「自分で納付」にしたい場合は、欄に書き忘れず自分でチェックを入れること。そのうえで、心配なら住んでいる市区町村の税務課(住民税担当)に「給与以外の所得を普通徴収にしたいが、今年度の運用はどうなっているか」と直接確認するのが一番確実です。電話1本で終わる確認です。
制度が「使えるか」を運営や役所に直接聞くのは私がよくやる方法で、ジムの会費が医療費控除の対象になるか厚労省とジム本部に問い合わせた記事も同じやり方で書きました。自治体ごとに違う制度は、ネット記事より一次情報の方が速いです。
ここまでの内容を踏まえて、STORESの売上を確定申告するときの実務的な流れは、国税庁の無料ツールと会計ソフト3社を比較した記事にまとめています。住民税の欄も含めて、申告書を実際に作る画面で迷わないようにしたい人は参考にしてください。
普通徴収にすると、納付書はいつ・どうやって届く?
結論:普通徴収を選んだ副業分の住民税は、自宅に届く納税通知書をもとに、年4回に分けて自分で納めます。会社には金額の通知が届きません。
総務省の解説によると、普通徴収の納期は年4回(多くの自治体で6月・8月・10月・翌年1月)に分けて納めるのが一般的です。自治体から自宅に納税通知書が送られてきて、そこに記載された税額を、コンビニ・銀行・スマホ決済アプリなどで納付します。
会社に届くのは、あくまで「特別徴収税額決定通知書」であり、これは特別徴収の対象になった部分(=給与所得分)の税額だけが記載されます。普通徴収を選んだ副業分の所得や税額は、会社宛ての通知書には記載されません。これが、副業分を普通徴収にすることで「会社バレ」を避けやすくなる直接の理由です。
注意点として、普通徴収の納税通知書は自宅に郵送されます。家族と同居していて、住民税の話を知られたくない事情がある場合は、通知書の管理にも気を配っておくと安心です。
STORES運営者が確定申告するときの実務チェックリスト
結論:申告書作成の最後、住民税の欄で「自分で納付」を選び忘れないこと。会計ソフトでも同じ入力ステップがあります。
STORESの売上を確定申告する流れの中で、住民税の欄は最後の方に出てくるため、経費の集計や所得の計算に気を取られて見落としがちです。申告直前にこのチェックリストで確認してください。
- 副業の所得は「事業所得」か「雑所得」か(給与所得ではないか)を確認した
- 確定申告書第二表(またはe-Tax・会計ソフトの該当画面)で「自分で納付」にチェックを入れた
- 副業以外にアルバイト等の給与収入がある場合は、その分は特別徴収になる前提で考えている
- 住んでいる自治体の税務課に、今年度の未選択時の扱いを確認した(不安な場合)
- 自宅に届く普通徴収の納税通知書を、家族に見られても困らない場所で管理する準備をした
ここまでの住民税の手続きに加えて、STORESの売上をどう申告書に反映させるかという実務は、売上と入金のどちらの数字を使うか、いくらから申告が必要かの分岐まで含めて別記事で整理しています。あわせて読むと、確定申告の一連の流れが一通りつながります。
▶ STORES確定申告のやり方|いくらから必要?申告方法4つ比較
STORES管理画面の「売上」と「入金」のどちらを使うか、会計ソフト3社と国税庁の無料ツールの比較まで、申告の全体像をまとめています。
よくある質問
Q1. 「自分で納付」を選べば、副業が会社に100%バレないですか?
100%とは言い切れません。事業所得・雑所得の部分は「自分で納付」で防げる可能性が高いですが、副業がアルバイト等の給与所得の場合は、地方税法の規定により給与分の住民税は主たる勤務先で合算して特別徴収されるため、この方法では防げません。また、住民税以外の経路(同僚との会話、社会保険の扶養関係など)でバレるケースもあるため、住民税の徴収方法はあくまで「対策の1つ」と考えてください。
Q2. 確定申告をしなくても住民税の申告は必要ですか?
所得税の確定申告が不要な場合(副業所得20万円以下など)でも、住民税の申告が別途必要になるケースがあります。「20万円以下は無申告でよい」というのは所得税だけのルールで、住民税には同じ基準がありません。この場合は市区町村の窓口で住民税の申告書を提出することになり、その申告書にも徴収方法を選ぶ欄があります。詳しくは住んでいる自治体の税務課に確認してください。
Q3. 「自分で納付」を選んだのに、会社宛ての通知書に副業分の所得が書かれていませんか?
足立区の説明によると、会社(特別徴収義務者)宛てに送られる「特別徴収義務者用」の税額通知書には、給与から差し引く税額のみが記載され、所得や控除の内訳は記載されません。納税義務者本人宛ての通知書は、所得の内訳が記載されますが圧着シート加工されており、会社の経理担当者が中身を見ることは想定されていません。ただし、こうした運用の詳細も自治体によって異なる可能性があるため、心配な場合は住んでいる自治体に確認するのが確実です。
Q4. 途中で普通徴収から特別徴収に変更したくなったらどうすればいいですか?
年度の途中での変更は自治体によって対応が分かれます。住民税担当の窓口に相談すれば、翌年度の申告からの切り替え方法を案内してもらえます。まずは市区町村の税務課(住民税担当)に電話で問い合わせるのが早いです。
Q5. 副業を始めたばかりで、開業届を出していません。それでも「自分で納付」は選べますか?
選べます。「自分で納付」の選択は開業届の提出有無とは関係なく、確定申告書に事業所得・雑所得として所得を記載していれば選択できます。開業届を出す・出さないの判断基準は別の話になるので、迷っている場合は副業ネットショップの開業届が扶養・失業保険にどう影響するかを整理した記事もあわせて確認してみてください。
まとめ
この記事の要点を4行にまとめます。
- 会社バレを防ぐには、確定申告書第二表の「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」欄で「自分で納付」を選ぶ
- 副業がアルバイト等の給与所得の場合は効かない自治体が増えている(地方税法第321条の3、2社以上の給与は合算して特別徴収)
- 欄を書き忘れたときの扱いも自治体で変わる。「未選択なら普通徴収」という古い情報のままにしない
- 不安な点は住んでいる自治体の税務課に直接電話で確認するのが一番速くて確実
まずは自分の副業が「事業所得・雑所得」なのか「もう1つの給与」なのかを確認してください。そこが分かれば、この記事のどこを読めばいいかがはっきりします。そのうえで確定申告書を作るタイミングになったら、住民税の欄だけは最後まで見落とさないようにしてください。
▶ STORESの売上、いくらから確定申告が必要かを分岐図で確認する
所得20万円ルールの正しい考え方、STORES管理画面のどこを見るか、会計ソフト3社の比較までまとめています。
なお、この記事は制度と自治体の公表情報を整理したものです。あなたの住民税がどう扱われるかは、住んでいる自治体・所得の内容によって変わります。個別の判断は、お住まいの市区町村の税務課または税理士に確認してください。
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※制度の内容は国税庁「確定申告書等作成コーナー」よくある質問(令和7年分申告)、総務省の地方税制度に関する解説、足立区公式ページ(2025年更新分)をもとに、2026年7月31日時点で確認したものです。令和8年分の申告における様式・運用は変更される可能性があるため、実際の申告前に最新の情報をご確認ください。徴収方法の細かい運用は自治体ごとに異なるため、個別の判断は住んでいる市区町村の税務課へお問い合わせください。







