ネットショップ・副業の経費はどこまでOK?判断基準を一覧表で整理
最終更新日: 2026年7月31日
ネットショップや副業の確定申告シーズンが近づくと、レシートを前にしてこう思う瞬間があります。「これ、経費にしていいのかな」。
撮影用に買った照明、仕入先との打ち合わせのコーヒー代、自宅の電気代の一部。調べても出てくるのは「事業に関連する支出は経費になります」という抽象的な説明ばかりで、自分のケースに当てはめられないことが多いんですよね。
この記事でわかることは3つです。
- 経費になる・ならないを判断する3つの軸
- STORESでネットショップを運営していて実際に発生する経費の一覧
- 判断に迷いやすいグレーゾーン7選と、それぞれの判定
結論から言うと、判断基準は「事業のために直接必要だったか」の一点です。ここに「プライベートと兼用かどうか」「金額が妥当か」を掛け合わせると、ほとんどの支出は迷わず仕分けられます。
私はSTORESでアパレル系のネットショップを運営している個人事業主です。クレジットカードの不正利用(チャージバック)を受けた時の対応もこのブログに残しているとおり、実店舗を持たない分、経費の内訳は「手数料・梱包・撮影・広告」に集中します。日々のレシートをどの科目に振り分けるか、実際に判断してきた立場で書きます。
制度の説明は国税庁タックスアンサーをもとにしています(2026年7月31日時点)。あいまいな支出は税務署・税理士への確認が必要になりますが、判断の型そのものは今日から使えます。
経費になるかどうかは「事業のために直接必要だったか」で決まる
結論:必要経費は「売上を得るために直接必要だった費用」と「業務上の販売費・管理費」の2種類だけ。プライベートの支出は原則含まれません。
国税庁タックスアンサーNo.1350によると、事業所得の金額はこう計算されます。
事業所得の金額 = 総収入金額 − 必要経費
そして必要経費に算入できる金額は、国税庁タックスアンサーNo.2210で次の2つと定義されています。
- 総収入金額に対応する売上原価その他、その総収入金額を得るために直接要した費用の額
- その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
STORESの決済手数料や月額利用料、仕入代金はこの2つに明確に当てはまるので、ほぼ全額が経費になります。一方で、「事業でも使うけれど、プライベートでも使う」ものは家事関連費という別のカテゴリに入り、判断がひとつ増えます。
経費の判定表|3つの軸で仕分ける
結論:①事業とだけ関係あるか ②プライベートと兼用か ③金額が妥当か。この3軸で見れば、ほとんどの支出は迷わず仕分けられます。
| 判断の軸 | OKの目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| ①事業関連性 | 売上を得るために直接使った、または業務の遂行上必要だった | 趣味や生活のためだけの支出は対象外 |
| ②兼用の有無(家事関連費) | 事業で使う部分を明確に区分できる | 「なんとなく半分」は税務調査で説明できない |
| ③金額の妥当性 | 同業者から見て社会通念上不自然でない金額 | 高額すぎる交際費・備品は説明を求められやすい |
特に見落とされがちなのが、2つめの「兼用」の扱いです。国税庁タックスアンサーNo.2210の注意事項には、家事関連費のうち必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる部分に限られるとあります。
この判定基準をさらに具体化しているのが所得税基本通達45-2です。実務上は支出額のうち事業で使った部分が50%を超えるかどうかがまず目安になり、50%以下でも、事業で必要な部分を明らかに区分できるなら、その部分だけ経費に算入して差し支えないとされています。「50%を切ったら家事按分は一切ダメ」という理解は誤りです。
STORES運営者の経費一覧【保存版】
結論:STORESに払うお金はほぼ全部経費。それに加えて仕入・梱包・撮影・広告まで含めると、ネットショップ特有の経費は10種類以上あります。
- 決済手数料・振込手数料(STORESの利用明細に基づいて計上)
- STORESの月額利用料(有料プランを使っている場合)
- 仕入代金(売上原価)
- 送料(発送時・返品時の着払い分も含む)
- 梱包資材(ダンボール、緩衝材、OPP袋、ラッピング資材)
- 商品撮影の機材(照明、背景布、三脚、レフ板)
- 撮影・モデルの外注費
- 広告費(SNS広告、検索広告)
- 写真加工・デザインツールの利用料
- 同梱するショップカード・ノベルティの制作費
- 宅配便の集荷・持ち込みにかかる交通費
- 会計ソフトの利用料
- 業務に直接関連するセミナー・書籍代
ここに挙げた中でも見落とされやすいのが、返品や配送トラブル時にかかる着払い送料や再梱包の費用です。私もSTORESでクレジットカードの不正利用を受けた際、運送会社からの引き戻しに着払い料がかかりました。通常の営業では想定していない出費でも、事業を運営する中で生じたものであれば経費や損失として扱える可能性があります。金額が大きい場合や返金・貸倒れが絡むケースは、扱いを税務署に確認しておくと安全です。
判断に迷うグレーゾーン7選
結論:兼用性が高いもの、金額が大きいものほど迷います。ここでは実務でよく相談される7つを判定します。
①自宅の家賃・水道光熱費・通信費
判定:家事按分すれば経費になる。作業スペースの面積割合、または実際の使用時間の割合で按分します。「1日のうち何時間、部屋の何割を事業で使っているか」を自分の言葉で説明できる状態にしておくのがポイントです。
②撮影用に買った洋服・アクセサリー
判定:撮影専用で業務のみに使うなら経費、私物と兼用するなら経費になりにくい。販売する商品そのものは売上原価ですが、モデル着用用や小道具として使い、私生活では着用しないと説明できる場合に限られます。普段も着られる服を「一応撮影にも使った」で経費にするのは、税務調査で否認されやすいパターンです。
③パソコン・スマホの買い替え
判定:金額によって処理が変わる。国税庁タックスアンサーNo.2100によると、取得価額10万円未満は購入した年に全額必要経費、10万円以上20万円未満は一括償却資産として3年間で均等に必要経費算入できます。さらに青色申告者は、取得価額が10万円以上30万円未満の資産について、合計300万円まで購入した年に全額を必要経費にできる特例があります(令和8年3月31日までに取得したもの)。令和8年度税制改正により、この特例の対象は令和8年4月1日以後に取得する資産から40万円未満まで広がっています。プライベートと兼用するパソコンは、ここでも使用割合での家事按分が必要です。
④仕入先との会食・打ち合わせ
判定:業務の話をした実態があれば交際費として経費になる。ただし高額すぎる会食は社会通念上の妥当性を問われます。日付・相手・目的をメモに残しておくと、後から説明しやすくなります。
⑤資格取得費・セミナー参加費
判定:ネットショップ運営に直接関連するものは経費、一般教養や趣味性が強いものは経費になりにくい。ECの運営・マーケティング・撮影技術のセミナーは説明しやすい一方、業務との関連が薄い資格取得費は否認されるリスクがあります。
⑥開業前に買った準備費用
判定:「開業費」として繰延資産に計上できる。開業前に買った名刺、試作品の仕入、リサーチのための書籍代などは、事業を始めるために特別に支出した費用として開業費に計上でき、任意償却(好きな年に、好きな金額だけ必要経費にできる)が認められています。開業した年にまとめて経費にする必要はなく、利益が出た年に合わせて償却額を調整できます。
⑦写真編集・予約投稿などのサブスクツール
判定:ネットショップの運営に使っている実態があれば経費になる。商品写真の編集アプリ、SNSの予約投稿ツール、バナー作成サービスなど、月額課金のツールは見落としがちですが、STORES運営の一部として継続的に使っているなら通信費や消耗品費・支払手数料などの科目で計上できます。プライベートのSNS投稿にも同じアカウントを使っている場合は、投稿内容の実態に応じて按分を検討してください。解約し忘れたまま経費に入れ続けているケースもあるので、契約中のサブスクは年に一度棚卸しするのがおすすめです。
家事按分の出し方|「なんとなく半分」はNG
結論:面積按分か使用時間按分で、数字の根拠を残すこと。感覚で決めた割合は税務調査で説明できません。
たとえば、自宅の一室(専有面積の20%)を作業スペースとして使っているケースで考えてみます。家賃が月10万円だった場合の按分額を試算すると、こうなります。
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 家賃(月額)の按分額 | 100,000円 × 20% | 20,000円 |
| 年間の按分額 | 20,000円 × 12か月 | 240,000円 |
使用時間で按分する場合は、「1日のうち何時間を作業に充てているか」を基準にします。どちらの方法を使うにしても、算定根拠をメモに残しておくのが重要です。「面積を測った」「作業時間を記録した」という事実があれば、税務調査で聞かれたときにすぐ答えられます。
経費を記録から確定申告につなげる
結論:経費は月ごとに科目別で仕分けておくと、確定申告のときに一気に集計できます。STORESの売上・入金データの見方も含めた申告のやり方は別記事にまとめました。
ここまでの経費一覧と判断軸は、あくまで「何が経費になるか」の整理です。実際に確定申告するときは、これにSTORESの売上データを組み合わせる必要があります。STORESは売上と入金の金額が一致しない仕組みになっていて、ここを間違えると手数料分の経費が消えてしまいます。
▶ STORES確定申告のやり方|いくらから必要?申告方法4つ比較
STORES管理画面のどこで売上・入金を確認するか、いくらから申告が必要かの分岐、会計ソフト3社の比較まで、申告の全体像をまとめています。
経費が多い年ほど会計ソフトが効いてくる
結論:経費の科目数が増えるほど、手作業の記帳は追いつかなくなります。青色申告65万円控除を狙うなら、複式簿記に対応した会計ソフトが近道です。
この記事で挙げたような経費を、決済手数料・荷造運賃・広告宣伝費・消耗品費…と科目ごとに手で仕訳けていくのは、慣れないうちはかなりの手間です。会計ソフトを使えば、STORESとの連携で売上・手数料のデータを自動で取り込みながら、経費のレシートを科目ごとに記録していけます。
3社とも無料期間があるので、確定申告の直前ではなく、経費のレシートが増えてきたタイミングで試すのがおすすめです。
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まとめ
この記事の要点を4行にまとめます。
- 経費になるかどうかは「事業のために直接必要だったか」が一番の判断軸
- プライベートと兼用するものは家事按分。50%を超えるかどうかが目安だが、50%以下でも区分できれば経費算入できる
- STORESの手数料・仕入・梱包・撮影・広告まで、ネットショップの経費は10種類以上ある
- 迷ったら「事業関連性」「兼用の有無」「金額の妥当性」の3軸に当てはめて考える
まずは直近1か月分のレシートを、この記事の一覧に当てはめて仕分けてみてください。それだけで、確定申告シーズンの作業量がかなり減ります。
よくある質問
Q1. レシートを無くしてしまいました。経費にできませんか?
領収書がなくても、出金伝票や取引の記録など、支出の事実と業務との関連を示せる資料があれば経費として認められる余地はあります。ただし証拠がないと税務調査で否認されるリスクは上がるので、次からはレシートを撮影して残すなど、なくさない仕組みを作るのが現実的です。
Q2. 家事按分の割合に決まった基準はありますか?
法律で「何%まで」と一律に決まっているわけではありません。国税庁タックスアンサーNo.2210は「取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる部分」を必要経費としており、面積や使用時間など、自分で説明できる根拠を用意することが基準になります。
Q3. 開業届を出す前に買ったものは経費にできますか?
できます。開業前に事業のために支出した費用は「開業費」として繰延資産に計上でき、開業後の任意のタイミングで償却(必要経費に算入)できます。レシートは開業前の分もまとめて保管しておいてください。
Q4. 副業の経費だけが赤字になっても大丈夫ですか?
経費が売上を上回って赤字になること自体に問題はありません。ただし赤字の状態が何年も続き、営利性が乏しいと判断されると、事業所得ではなく雑所得として扱われ、他の所得との損益通算ができなくなる場合があります。判断に迷う場合は税務署に確認してください。
Q5. 交通系ICカードのチャージ額はそのまま経費にできますか?
チャージした金額そのものではなく、実際に事業のために使った乗車分だけが経費になります。プライベートの移動と混在する場合は、利用履歴をもとに事業利用分を区分して計上するのが基本です。
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※制度の内容は国税庁タックスアンサー(No.1350/No.2100/No.2210)および所得税基本通達45-2をもとに、2026年7月31日時点で確認したものです。個別の経費計上の可否や家事按分の割合の妥当性は、所轄の税務署または税理士に確認してください。








