最終更新日: 2026年8月1日

STORESでネットショップを始めようとして、真っ先につまずくのが「特定商取引法に基づく表記」です。氏名はまだいい。でも自宅の住所と電話番号まで、不特定多数が見られるページに載せるとなると、話は変わってきます。

「バーチャルオフィスを使えばいいらしい」という情報は検索するとすぐ出てきます。でも、いざ調べ始めると「本当に特商法的にOKなのか」「STORESやBASEでも使えるのか」「結局どこが一番安いのか」が、サイトによって言っていることが微妙に違って、結論が出せません。

この記事でわかることは3つです。

  • バーチャルオフィスの住所が特商法表記に使える条件(消費者庁の考え方)
  • STORES・BASEの非公開機能とバーチャルオフィスの違い、それぞれの限界
  • 主要6社の料金を「年間総額」で並べたとき、実質どこが一番安いか

結論から言うと、バーチャルオフィスの住所は「現に活動している住所」として運用すれば特商法表記に使えます。ただし、STORESは公式FAQで「現に活動している住所ではないバーチャルオフィスの住所等の登録は認めない」と明記しており、プラットフォームごとに扱いが違う点は見落とされがちです。料金は各社の表記がバラバラで比較しづらいので、この記事では初期費用込みの年間総額で横並びにしています。

私はSTORESでネットショップを運営している個人事業主です。開業届経費と同じく、自分自身が特商法表記の住所問題に直面したので、消費者庁の一次情報と各社公式サイトを確認した範囲でまとめました。

特商法で住所の公開が義務なのはなぜか

ネットショップは特商法上の「通信販売」にあたり、個人でも要件を満たせば氏名・住所・電話番号の表示義務を負います。

消費者庁の特定商取引法ガイドによれば、通信販売を行う事業者は広告(ショップページ)に事業者の氏名(名称)・住所・電話番号などを表示しなければなりません。ここでいう「事業者」は法人に限りません。営利の意思をもって反復継続して販売していれば、個人でも「販売業者」に該当するとされています。副業や在宅ワークのつもりでも、継続的に売っている時点でこの義務からは逃れられません。

表示する氏名は屋号やショップ名ではなく、戸籍上の氏名(または商業登記した商号)である必要があります。住所は「現に活動している住所」、電話番号は「確実に連絡が取れる番号」であることが条件です。つまり、この法律が本当に求めているのは「消費者が事業者と確実に連絡を取れること」であって、「自宅の住所を晒すこと」自体が目的ではありません。ここが、バーチャルオフィスという選択肢が成立する余地になっています。

バーチャルオフィスの住所は特商法表記に使えるのか

使えます。ただし「現に活動している住所」といえる実態と、開示請求への対応体制がセットで必要です。

消費者庁の通信販売広告Q&Aは、住所・電話番号の表示について、消費者からの請求に応じて「遅滞なく」書面や電子メールで詳細情報を提供する体制を取っている場合は、広告上の表示を一部省略できるとしています。バーチャルオフィスの住所についても、同様に「現に活動している住所」として扱える実態(郵便物が確実に転送されて手元に届く、連絡がつく)があれば、表示自体は認められる、というのが実務上の整理です。

逆に言うと、契約しただけで放置している住所や、私書箱のように郵便物の受け取りだけが目的のサービスは「活動拠点」とは言いにくく、表示義務違反を問われるリスクが残ります。バーチャルオフィスを使うなら、次の3点はセットで整えてください。

  • 郵便物が確実に転送され、実際に受け取れる運用になっていること
  • 開示請求があれば遅滞なく対応する旨をショップ内に明記すること
  • 問い合わせフォームなど、開示請求を受け付ける窓口を用意すること

なお、氏名は非公開にできません。バーチャルオフィスで守れるのは住所と電話番号までで、戸籍上の氏名(屋号のみは不可)は表示が必要な点は変わらない、という前提で考えてください。

STORES・BASEでバーチャルオフィスは使えるか

STORESは公式FAQで「現に活動している住所ではないバーチャルオフィスの登録は認めない」と明記しています。ここは多くの比較記事が見落としています。

STORESには、個人・個人事業主に限り「特定商取引法に基づく表示」の所在地・電話番号を非公開にできる機能があります。非公開にすると、画面上にはSTORES株式会社の所在地・電話番号が代わりに表示される仕組みです。追加費用はかかりません。

ただし、この機能はあくまで「画面上の表示」を隠すものです。STORESへの登録自体には、実際に事業活動を行っている拠点の住所と、確実に連絡が取れる電話番号を正しく入力する必要があります。そしてSTORESの公式FAQには、次の一文があります。

「現に活動している住所」ではないバーチャルオフィスの住所等を登録することは、特商法の表示義務違反となる恐れがあるため認められません。

STORES公式FAQ「ストアの所在地・連絡先を非公開にする方法を教えてください」(2026年6月24日更新分を確認)

つまりSTORESでは、バーチャルオフィスの住所を「実際に郵便物を受け取り、活動の実態がある住所」として運用しない限り、登録自体が規約違反になりうるということです。BASEも同様に、個人ショップのみ所在地・連絡先を非公開にでき、代わりにBASE株式会社の情報が表示されますが、法人化すると使えなくなる点や、発送元・納品書は自分の情報のまま、という限界は共通しています。

サービス非公開にできる人代わりに表示されるものバーチャルオフィス登録
STORES個人・個人事業主のみSTORES株式会社の所在地・電話番号「現に活動している住所」でなければ不可と明記
BASE個人ショップのみ(法人不可)BASE株式会社の住所・連絡先公式に明確な禁止文言はないが、登録住所は活動実態が前提
STORES公式FAQ・BASEヘルプをもとに作成(2026年8月1日確認)

結論として、「非公開機能があるから住所は自宅のままでいい」と「バーチャルオフィスに住所ごと切り替える」は別の話です。自宅住所そのものを事業用に変えたいなら、実際に郵便物を受け取れる運用のバーチャルオフィスを、活動拠点として契約する必要があります。迷う場合は、契約前に販路側のサポートへ規約上の扱いを確認するのが確実です。

主要バーチャルオフィス6社の料金を横並びで比較

月額表示だけを見ると安く見えても、入会金・保証金・転送頻度の条件はバラバラで、そのままでは比較になりません。

各社公式サイトで確認した、住所利用+郵便転送ができる主なプランを横並びにしました(2026年8月1日確認、キャンペーン料金は別途注記)。

サービスプラン月額初期費用郵便転送法人登記
ナレッジソサエティバーチャルオフィスメンバー4,950円入会金16,500円+保証金30,000円月1回(来館受取可)可(千代田区)
NAWABARIネットショップ運営プラン1,100円5,500円(記事執筆時点は無料キャンペーン中)週1回不可(登記はビジネスプランのみ)
NAWABARIビジネスプラン(年間契約)1,650円同上週1回可(目黒区)
GMOオフィスサポート月1転送プラン1,650円0円月1回
GMOオフィスサポート転送なしプラン660円0円転送なし(受取不可)不可
DMMバーチャルオフィスベーシックプラン(年間契約)2,530円〜入会金5,500円週1回
DMMバーチャルオフィスミニマムプラン660円入会金5,500円週1回(受取は税金関連書類等のみ)
レゾナンスバーチャルオフィスコース990円〜5,500円月1回
各社公式サイト(k-society.com/nawabari.net/gmo-office.com/virtualoffice.dmm.com)および業界比較データ(vo-compass.jp、2026年7月11日確認分)をもとに作成。表示は税込・対象プランの最安値。キャンペーン内容は変動するため契約前に必ず公式サイトで最新料金を確認してください。

この時点で早くも分かるのは、「登記なし・住所表記+郵便転送だけ」の用途なら月額660〜1,650円のレンジに大半が収まるということです。逆にナレッジソサエティだけ、月額・初期費用ともに一段高い水準にいます。これは会議室・受付スタッフ常駐・対面審査といった、住所貸し以外のサービスが料金に含まれているためです。

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【独自試算】年間総額で比較するといくら得か

月額×12ヶ月に初期費用を足した「初年度の実質総額」で並べ替えると、月額表示の安さと順位が入れ替わります。

ネットショップの特商法表記に使う前提(住所利用+月1回以上の郵便転送ができる、法人登記は不要)で、各社の対象プランの初年度総額を計算しました。

サービス(プラン)月額×12初期費用初年度総額(目安)
レゾナンス(月1転送)11,880円5,500円約17,380円
NAWABARI(ネットショップ運営プラン)13,200円5,500円(通常時)約18,700円(キャンペーン中は13,200円)
GMOオフィスサポート(月1転送プラン)19,800円0円約19,800円
DMM(ベーシックプラン・年間契約)30,360円5,500円約35,860円
ナレッジソサエティ(保証金除く)59,400円16,500円約75,900円
ナレッジソサエティ(保証金込み)59,400円46,500円約105,900円
筆者試算(2026年8月1日時点の公式表示価格をもとに算出)。保証金は退会時の扱いが契約条件により異なるため、契約前に必ず確認してください。キャンペーン価格は変動します。

この試算で見えてくるのは、「月額の安さ」だけで選ぶと初期費用で逆転されるということです。GMOの転送なしプランは月額660円と一番安く見えますが、郵便物を一切受け取れないため特商法運用には使えません。実際に郵便転送込みで比較すると、レゾナンスとNAWABARIのネットショップ運営プランが初年度1.7万〜1.9万円ほどで並び、ナレッジソサエティは同条件で4〜6倍の総額になります。

NAWABARIのネットショップ運営プランは、屋号を10個まで追加料金なしで住所利用でき、共用の電話番号(要件転送)も月額に含まれています。複数のショップ名や屋号を使い分けたい人ほど、この横並び計算では有利になります。

▶ ネットショップ複数屋号OK・共用電話込みの実質月額を、NAWABARI公式サイトで確認する

用途別の判断軸|住所貸し・登記・電話、何が要るか

「住所だけ」「登記も」「電話も」で必要な機能が変わり、最適なサービスも変わります。契約前にこの3段階を自己診断してください。

必要な機能該当する人合いやすいサービス例
住所表記だけでいい(法人登記・電話は不要)個人事業主でネットショップのみ運営レゾナンス/NAWABARIネットショップ運営プラン
住所+法人登記が要るこれから法人化・マイクロ法人を検討中GMOオフィスサポート(月1転送プラン)/NAWABARIビジネスプラン
住所+登記+電話・来客対応まで要る士業提携や商談で信用力を重視したいナレッジソサエティ
複数の屋号・ショップ名を使い分けたい複数店舗・複数ブランドを運営NAWABARI(屋号10個まで無料)
各社公式サイトの提供機能をもとに筆者が整理

バーチャルオフィスの正直なデメリット

審査・受け取りタイムラグ・利用できない業種があることは、契約前に必ず知っておくべきデメリットです。

  • 士業・建設業・不動産業・人材紹介業・金融商品取引業などは、業種によってバーチャルオフィスを利用できない、または各業法上の営業所要件を満たせないことがあります。契約前に該当する監督官庁・業界団体に確認してください。
  • 審査がある。本人確認書類の提出が必須で、ナレッジソサエティは対面審査、NAWABARIはeKYCアプリでの本人確認が必要です。審査に落ちる、または反社会的勢力との関わりが疑われる事業内容は断られます。
  • 郵便物の受け取りにタイムラグが生じる。月1回・週1回などの定期転送が基本で、即時転送はオプション料金になることが多いです。現金書留や本人限定受取郵便など、そもそも受け取れない郵便物もあります。
  • 発送元ラベル・納品書には自分の情報が残ることが多い。STORES・BASEとも匿名配送機能はなく、配送伝票の差出人欄には自身の情報を入力する必要があります。住所を隠しても、荷物の発送元まで隠せるとは限りません。
  • 拠点が限定的なサービスが多い。NAWABARIは東京都目黒区・渋谷区のみ、ナレッジソサエティは千代田区のみと、住所の選択肢が限られるサービスもあります。

私ならこう選ぶ|条件別の結論

結論だけ言うと、STORESで個人事業主として住所を隠したいだけなら、プラットフォームの非公開機能を先に使い、それでも住所そのものを変えたいならNAWABARIかレゾナンスから検討します。

  • STORES・BASEで個人事業主として、まず費用をかけずに隠したい → プラットフォームの非公開機能(無料)を先に設定する。それでも「登録住所そのもの」を自宅以外にしたいなら、次の一手としてバーチャルオフィスを検討する
  • 複数商品・複数屋号でネットショップを本格運営したい → NAWABARIのネットショップ運営プラン。屋号10個まで無料、共用電話番号込みで、年間総額も業界最安クラス
  • 将来的に法人化・マイクロ法人も視野に入れている → GMOオフィスサポートの月1転送プラン。入会金0円で法人登記にも対応でき、総額を抑えられる
  • 士業との商談や来客対応があり、信用力を重視したい → ナレッジソサエティ。総額は高くなるが、会議室・受付スタッフ常駐・対面審査による信頼性が料金に含まれている

全員に同じ答えはありません。ただ、住所を隠すこと自体が目的なら、まず無料のプラットフォーム機能を試し、そのうえで年間総額が最も軽いサービスから検討するのが遠回りしない順番だと思います。

開業届を出すタイミングと合わせて事業用の住所を整えたい人は、副業ネットショップの開業届の記事もあわせて確認しておくと、手続きの抜け漏れを防げます。

よくある質問

Q1. バーチャルオフィスの住所を使えば、自宅住所は誰にも分からなくなりますか?

特商法表記の住所は隠せますが、「誰にも分からない」保証にはなりません。発送伝票の差出人欄や納品書には自分の情報を入力する必要がある場合が多く、開示請求があれば正当な理由のもとで開示されることもあります。守れる範囲と残る穴を分けて考えてください。

Q2. STORESでバーチャルオフィスの住所を登録しても大丈夫ですか?

STORES公式FAQは「現に活動している住所ではないバーチャルオフィスの住所等の登録は認めない」と明記しています。契約するバーチャルオフィスで実際に郵便物を受け取り、活動拠点といえる実態を作ったうえで登録するのが前提です。判断に迷う場合は、契約前にSTORESのサポートへ直接確認することをおすすめします。

Q3. 一番安いバーチャルオフィスはどこですか?

月額表示だけならGMOオフィスサポートの転送なしプラン(660円)が最安ですが、郵便物を一切受け取れないため特商法運用には不向きです。郵便転送込みで比較すると、初年度総額はレゾナンスの月1転送プラン、次いでNAWABARIのネットショップ運営プランが軽い水準になります。詳細は記事内の年間総額比較表を確認してください。

Q4. バーチャルオフィスの契約に審査はありますか?

ほとんどのサービスで本人確認書類の提出と審査があります。ナレッジソサエティは対面式の審査、NAWABARIはeKYCアプリでのオンライン本人確認です。事業内容が公序良俗に反する、反社会的勢力との関わりが疑われるといった場合は契約を断られることがあります。

Q5. 法人登記もしたい場合、どのプランを選べばいいですか?

NAWABARIは登記可能なのはビジネスプランのみ(ネットショップ運営プランでは登記不可)、GMOオフィスサポートは月1転送プラン以上で登記に対応しています。登記の要否は将来のプラン変更にも関わるため、契約前に「今は個人事業主だが将来法人化するか」を決めてから選ぶと、後からの切り替えの手間を減らせます。

まとめ

この記事の要点を4つにまとめます。

  • 特商法は個人でも氏名・住所・電話番号の表示を義務付けるが、「現に活動している住所」であればバーチャルオフィスの住所も使える
  • STORESは公式に「活動実態のないバーチャルオフィスの登録は不可」と明記している。非公開機能とは別の話として理解する
  • 月額表示だけでなく初期費用込みの年間総額で比較すると、レゾナンスとNAWABARIのネットショップ運営プランが軽く、ナレッジソサエティは会議室・対面審査込みで総額が上がる
  • 審査・受け取りタイムラグ・発送元ラベルの扱いなど、正直なデメリットも契約前に把握しておく

まずは今使っている(使う予定の)販路の非公開機能を確認し、そのうえで住所そのものを変える必要があるかどうかを判断してください。用途が「住所貸しだけ」なのか「登記や電話まで含めたい」のかで、選ぶべきサービスははっきり分かれます。

▶ ネットショップ運営者に人気の実質月額を、NAWABARI公式サイトで確認する
▶ 登記・来客対応まで含めて信用力を重視するなら、ナレッジソサエティの料金プランを見る

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※本記事には広告(アフィリエイトリンク)を含みます。リンク経由で申し込みがあった場合、当サイトに紹介料が支払われることがあります。紹介料の有無によって内容や評価を変えることはしていません。
※法令の内容は消費者庁「特定商取引法ガイド」、料金・サービス内容は各社公式サイト(ナレッジソサエティ、NAWABARI、GMOオフィスサポート、DMMバーチャルオフィス、レゾナンス)およびSTORES・BASE公式ヘルプを2026年8月1日時点で確認したものです。料金・規約は変更されることがあるため、契約前に必ず最新情報を公式サイトでご確認ください。特商法表記の可否や登記の可否など個別の判断は、利用する販路の運営者・バーチャルオフィス事業者・行政窓口に必ずご確認ください。

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