最終更新日: 2026年8月1日

STORESで売上が立つたびに、こう思ったことはありませんか。「これ、帳簿にはどう書けばいいんだろう」。

確定申告のやり方や経費の一覧は調べれば出てきます。でも「STORESの入金明細を見ながら、実際にどの科目でどう仕訳を起こすか」を具体的に書いている記事は、驚くほど少ないんですよね。会計ソフトの画面キャプチャはあっても、手を動かす手順そのものを追える記事がないというか。

この記事でわかることは3つです。

  • STORESの入金明細を複式簿記の仕訳に変換する具体的なパターン
  • 決済方法(クレジットカード・代金引換・銀行振込)ごとの仕訳の違い
  • 月1回で回せる帳簿づけのルーティンと、STORES運営者向けの勘定科目表

結論から言うと、STORESの仕訳で一番大事なのは「売上」と「入金」を分けて記帳することです。この2つを同じ金額だと思い込むと、決済手数料が経費から消えます。

私はSTORESでネットショップを運営している個人事業主です。STORESの確定申告のやり方経費の判断基準は別記事にまとめていますが、そこでは書ききれなかった「実際の仕訳の起こし方」だけを、この記事に集約しました。会計ソフトを使う人にも、エクセルで手記帳する人にも共通する考え方として書いています(2026年8月1日時点)。

帳簿づけの全体像|「いつ・何を・どう記帳するか」

結論:記帳のタイミングは「売れたとき」と「入金されたとき」の2回。STORESは月末締め・翌月末払いなので、この2つは必ずズレます。

STORESで物が売れてから、あなたの口座にお金が振り込まれるまでには、こういう流れがあります。

  1. お客さんが商品を購入(STORES上でオーダーが確定)
  2. STORESが決済手数料・振込手数料を差し引く
  3. 月末締め・翌月末払いで、差し引き後の金額が銀行口座に振り込まれる

複式簿記(発生主義)で記帳する場合、①の時点で「売上」を計上し、③の時点で「入金」を計上します。この2つを同じタイミング・同じ金額で処理してしまうと、手数料の記録が抜け落ち、月をまたぐ売上の管理もできなくなります。次の章から、具体的な仕訳の起こし方を見ていきます。

STORESの入金明細を仕訳に変換する【基本パターン】

結論:売れた日に「売掛金/売上高」、入金された日に「普通預金+支払手数料/売掛金」の2段階で仕訳します。

クレジットカード決済で15,000円(送料・消費税込)の商品が売れ、フリープラン(決済手数料5.5%・振込手数料275円)で翌月末に入金されたケースで、実際の仕訳を見てみます。

①売れた日(オーダー確定日)の仕訳

借方金額貸方金額
売掛金15,000円売上高15,000円
オーダー確定日(発生主義)に売上高を計上する仕訳。金額はオーダーの総額(送料・消費税込)を使う

ここでのポイントは、入っていない手数料をあらかじめ引かずに、オーダーの総額をそのまま売上高にすることです。手数料は「入金されたとき」に経費として別立てで記帳します。ここで手数料を引いた金額を売上高にしてしまうと、次の入金時の仕訳と数字が合わなくなります。

②入金された日(翌月末)の仕訳

借方金額貸方金額
普通預金13,900円売掛金15,000円
支払手数料1,100円
決済手数料825円(15,000円×5.5%)+振込手数料275円=支払手数料1,100円。STORES公式の手数料率をもとにした計算例

これで、売掛金15,000円がちょうどゼロになり、普通預金には実際に振り込まれた13,900円が入り、差額の1,100円は支払手数料として経費に残ります。この「支払手数料」の記録こそが、確定申告のときに手数料を経費として引ける証拠になります。

入金額を直接「売上高」として記帳してしまう人が多いのですが、それだと支払手数料の1,100円がどこにも記録されず、経費として引けなくなります。年間では数万円単位の差になるので、この2段階の考え方だけは押さえておいてください。

決済方法ごとの仕訳の違い

結論:クレジットカードやコンビニ決済は「STORES経由で入金」、代金引換だけは「STORESを経由せず自分で受け取る」ので、仕訳の起点が違います。

決済方法入金の流れ仕訳のポイント
クレジットカード・コンビニ決済・あと払い(ペイディ)・atone・キャリア決済・PayPay残高・楽天ペイ・Amazon Pay・銀行振込・PayPalSTORESが手数料を差し引いて振込売上計上→入金時に手数料を支払手数料へ振替(前章のパターン)
代金引換配送業者が代金を回収し、STORESを経由せず別途振り込まれる売上計上は同じだが、入金は「現金」または配送業者からの振込として個別に記帳が必要。会計ソフトの自動連携対象外になるため、ここだけ手入力が必須
STORES公式FAQに記載の決済方法区分をもとに作成。代金引換は自動連携の対象外である点が実務上の最大の注意点

代金引換を扱っているショップで一番多い事故が、「連携しているから自動で全部入ってくるはず」という思い込みです。代金引換の売上だけ、毎月自分でオーダーCSVを見て仕訳を起こす必要があります。取り扱い件数が少ないうちは手作業でも問題ありませんが、増えてきたら代金引換を扱う決済方法から外すという選択肢も検討する価値があります。

返品・キャンセル・値引きの仕訳

結論:返品は「売上の取り消し」として売上高を直接減額するか、「売上値引き」の科目を使って別立てで記録するかのどちらかで統一します。

ネットショップ特有の悩みが、注文後のキャンセルや返品です。仕訳のタイミングによってパターンが分かれます。

入金前にキャンセルになった場合

まだ入金されていない売掛金の状態でキャンセルになったら、①で起こした「売掛金/売上高」の仕訳を、同額で逆に起こして取り消します(売上高/売掛金)。売上自体がなかったことにするシンプルな処理です。

入金後に返品・返金になった場合

すでに入金済みの売上を返金する場合は、「売上高(または売上値引・戻り高)/普通預金」で処理します。返金にかかる振込手数料が別途発生した場合は、その分も支払手数料として計上できます。返品件数が多いショップは、「売上値引・戻り高」という科目を独立させておくと、月次でどれだけ返品が発生しているかを把握しやすくなります。

返品・返金にともなう再梱包費や着払いの送料も、事業のために生じた費用として経費に計上できます。金額が大きい・件数が多い場合の扱いは、念のため税務署や税理士に確認しておくと安心です。

STORES運営者向け 勘定科目表【保存版】

結論:迷ったらこの表に当てはめるだけで、ほとんどの取引の科目は決まります。

取引の内容借方科目貸方科目
商品が売れた(発生時)売掛金売上高
売上が入金された普通預金/支払手数料売掛金
STORESの決済手数料・振込手数料支払手数料(入金時に相殺)
STORESの月額利用料支払手数料 または 諸会費普通預金
商品の仕入代金仕入高普通預金・現金・買掛金
送料(発送時)荷造運賃普通預金・現金
梱包資材(ダンボール・緩衝材など)荷造運賃 または 消耗品費普通預金・現金
商品撮影の機材・外注費消耗品費/外注工賃普通預金・現金
広告費(SNS広告など)広告宣伝費普通預金・クレジットカード
返品・返金売上高(または売上値引・戻り高)普通預金
代金引換の売上入金現金 または 普通預金売掛金
会計ソフトの利用料支払手数料 または 諸会費普通預金・クレジットカード
一般的な複式簿記の勘定科目の考え方をもとに、STORES運営でよく発生する取引に当てはめて作成。科目名は会計ソフトや事業内容によって多少異なります

科目名は絶対的な正解があるわけではなく、同じ取引でも「荷造運賃」と「消耗品費」のどちらを使うかはショップによって分かれます。大事なのは科目名の正しさより、毎回同じ科目に揃えて記帳し続けることです。年の途中で科目をコロコロ変えると、あとで集計したときに数字が追えなくなります。

経費として計上できるかどうかの判断軸そのものは、この記事とは別にまとめています。

ネットショップ・副業の経費はどこまでOK?判断基準を一覧表で整理を見る
事業関連性・兼用の有無・金額の妥当性という3つの軸と、グレーゾーン7選をまとめています。

月次ルーティンで回す|いつ・何をするか

結論:月末に「入金CSVのダウンロード」、月初に「前月分の仕訳入力」の2つを固定すれば、年末に慌てなくて済みます。

帳簿づけを年1回、確定申告の直前にまとめてやろうとすると、STORESの画面で1年分の注文をさかのぼる作業になり、かなりの時間を溶かします。私が実際に回している月次のルーティンはこれです。

  • 月末:STORES管理画面の[ネットショップ]>[入金]からCSVをダウンロードし、年月フォルダに保存する
  • 月初:前月分の入金CSVを見ながら、①売上(オーダー総額)②手数料(支払手数料)③入金額の3つを仕訳に落とす
  • 月初:代金引換があれば、オーダーCSVから該当分だけ個別に仕訳を追加する
  • 月初:その月の経費レシートを、勘定科目表に当てはめて仕分ける
  • 四半期に1回:売掛金の残高が「まだ入金されていない直近1〜2か月分の売上」とだいたい一致しているか確認する

この中でも一番効くのが「月末にCSVをダウンロードするだけ」の習慣です。これさえやっておけば、実際の仕訳入力は後回しにしても、年明けにデータそのものが消えている心配がなくなります。

エクセル手記帳 vs 会計ソフト連携|独自試算で比較

結論:月の注文件数が少ないうちはエクセルで十分。目安として月30件を超えてくると、自動連携ソフトのほうが時間の投資対効果で勝ちます。

「エクセルの手打ちでいつまで粘れるか」を、作業時間の仮定を置いて試算してみます。1件あたりの仕訳入力に2分かかると仮定した、目安のシミュレーションです。

月の注文件数手入力の時間(目安)自動連携ソフトでの時間(目安)
10件約20分確認作業のみ 約10分
30件約60分確認作業のみ 約10〜15分
100件約200分(3時間20分)確認作業のみ 約15〜20分
1件あたりの手入力時間を2分と仮定した目安の試算。実際の所要時間は取引内容や入力に慣れているかで変わります

件数が増えるほど、手入力とソフト連携の差は開いていきます。月30件を境に、手入力の時間がソフトの年会費(月1,000円前後)を時給換算で上回ってくるのが、私の感覚での分岐点です。逆に月10件程度なら、無料のエクセルテンプレで管理しても大きな負担にはなりません。

会計ソフトを使う場合、STORESとの連携に対応しているかどうかで手間が大きく変わります。ソフトごとの料金・連携可否・消費税申告への対応は、別記事の比較表にまとめています。

STORES確定申告のやり方|いくらから必要?申告方法4つ比較を見る
国税庁の無料ツールと会計ソフト3社を比較し、STORESとの連携可否まで確認しています。青色申告65万円控除の要件もあわせて解説しています。

私ならこう運用する

結論:注文件数と代金引換の有無で、エクセルかソフトかを決めます。

  • 月の注文が10件前後で、決済方法もクレジットカード中心 → エクセルの手記帳で十分。この記事の勘定科目表をそのままテンプレとして使えます
  • 月30件を超えてきた/科目分けが面倒になってきた → 会計ソフトの自動連携を検討するタイミング。手入力の時間をソフト代が上回る計算になります
  • 代金引換の比率が高い → どのソフトを使っても代金引換だけは手作業が残るので、件数が多いなら決済方法自体の見直しも選択肢に入れます
  • 簿記の知識にまったく自信がない → 勘定科目表をプリントして手元に置き、迷ったらそこに当てはめるところから始めます。完璧な仕訳を最初から目指す必要はありません

帳簿は「正しさ」より「毎月続けられるかどうか」のほうが重要です。自分の注文件数に合ったやり方を選んでください。

よくある質問

Q1. 白色申告でも複式簿記の仕訳は必要ですか?

白色申告は簡易な帳簿(収入・経費を日付順に記録する程度)で足りるとされており、複式簿記までは必須ではありません。ただし青色申告特別控除(55万円・65万円)を狙うなら複式簿記が要件になるため、将来的に青色申告に切り替える予定があるなら、早いうちから複式簿記に慣れておくと移行がスムーズです。

Q2. 売掛金という科目を使わず、入金時にまとめて売上計上してもいいですか?

現金主義に近い簡便な処理として、実務上そうしているケースもあります。ただし年末年始をまたぐ売上(12月に売れて1月に入金される分など)を正しく年度に区分するには、発生主義(売れた日に売上計上)のほうが原則に沿っています。青色申告65万円控除を狙う場合は、正規の簿記の原則にもとづく記帳が求められるため、売掛金を使う方法をおすすめします。

Q3. STORESと会計ソフトを連携すれば、この記事の仕訳作業は不要になりますか?

連携すれば売上・手数料のデータ入力は自動化されますが、「その仕訳が正しいかを確認する」作業は残ります。特に代金引換の売上や、返品・返金の処理は自動連携の対象外になることが多いので、この記事のパターンを知っておくと、ソフトが出してきた仕訳が合っているかどうかを自分で判断できます。

Q4. 勘定科目を間違えて記帳してしまいました。修正は必要ですか?

同じ取引が別の科目に混ざっていると、あとで集計するときに実態と数字がずれます。気づいた時点で、できるだけ早く該当の仕訳を修正しておくのが安全です。会計ソフトの多くは、過去の仕訳をあとから一括で科目変更できる機能を持っています。

Q5. 帳簿や入金CSVは何年分、保存しておけばいいですか?

帳簿および決算関係書類の保存期間は原則7年です(請求書・見積書など一部の書類は5年でよいとされています)。STORESの入金CSVも、この保存対象の裏付け資料として扱えるよう、年月ごとにフォルダ分けして残しておくことをおすすめします。

まとめ

この記事の要点を4行にまとめます。

  • STORESの仕訳は「売れた日」と「入金された日」の2段階で起こす。同じ金額だと思い込むと手数料が経費から消える
  • 代金引換だけはSTORESを経由せず入金されるので、自動連携の対象外になりやすく手作業が必要
  • 勘定科目は正しさより一貫性。一度決めた科目をコロコロ変えない
  • 月30件を超えてきたら、手入力から会計ソフトの自動連携への切り替えを検討する目安になる

まずは今月分の入金CSVをダウンロードして、この記事の仕訳パターンに当てはめてみてください。1回やってみると、次の月からの作業が驚くほど軽くなります。

STORES確定申告のやり方|いくらから必要?申告方法4つ比較
この記事で仕訳を起こした後、実際の確定申告にどうつなげるかを会計ソフト3社の比較を含めてまとめています。

なお、この記事は一般的な複式簿記の考え方とSTORES公式FAQをもとに、筆者の運営経験を踏まえて整理したものです。勘定科目の選び方や個別の仕訳処理について不安がある場合は、税理士または税務署に確認してください。

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※記事内の仕訳例・勘定科目は一般的な複式簿記の考え方とSTORES公式FAQをもとに、2026年8月1日時点で筆者が整理したものです。事業内容や使用する会計ソフトによって適切な科目・処理が異なる場合があるため、個別の判断は税理士または税務署に確認してください。

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”マインドフルネス”かつ"ウェルビーイング"(身体的、精神的、社会的に健康で豊かであること)の実現を目指して