個人事業主のデジタル終活|ネットショップの資産を棚卸しする方法
最終更新日: 2026年8月5日
「もし自分に何かあったら、STORESのショップってどうなるんだろう」。ネットショップを一人で回していると、ふとそんな不安がよぎることがあります。エンディングノートの記事はたくさんありますが、書いてあるのは「写真」「SNS」「スマホのパスワード」ばかりで、ドメイン・決済サービス・会計ソフトのサブスクといった「事業の資産」の話はほとんど出てきません。
この記事でわかることは3つです。
- 個人事業主・EC運営者が持つデジタル資産の棚卸しリスト(死後どうなるか・事前にできる対策)
- Google・Apple・Metaの公式ヘルプに基づく、主要プラットフォームの死後アカウント対応
- エンディングノート・パスワード管理ツール・デジタル終活サービス、3つの選択肢の比較と「私ならこう選ぶ」
結論から言うと、個人の写真やSNS以上に、EC運営者は「放置すると実害が出る資産」を多く抱えています。ドメインが切れればショップごと消え、決済サービスの残高は家族が引き出せないままになりかねません。
私はSTORESでネットショップを実際に運営している個人事業主です。法人成りやバーチャルオフィスの記事と同じく、自分自身がいずれ向き合う課題として、公式情報とサービスの一次情報を調べ尽くしてまとめました。デジタル終活サービスは体験していないので、「使った」という体裁では書いていません。調べて整理したという立場で書きます(2026年8月5日時点の情報です)。
デジタル終活とは?個人事業主・EC運営者ほど備えが必要な理由
デジタル終活とは、死後や万が一の際に困らないよう、生前にデジタルデータ・アカウントを整理しておくことです。EC運営者は資産の数が単純に多いため、リスクも比例して大きくなります。
一般的な「デジタル終活」の記事は、写真・動画・SNS・スマホのロック解除など、個人の思い出とプライバシーを対象にしたものがほとんどです。高齢の親を持つ子ども世代に向けた内容が多く、「自分が事業をしている側」という前提では書かれていません。
ですが、STORESやBASEでネットショップを運営していると、個人の資産に加えて次のようなものを抱えることになります。
- ネットショップ本体(STORES・BASEなどのアカウント)
- 決済サービス・ネット銀行の残高
- 独自ドメイン・レンタルサーバーの契約
- ショップ公式のSNSアカウント
- 会計ソフト・デザインツールなど業務用サブスク
- 商品画像や顧客データを置いたクラウドストレージ
これらは「本人が死亡・長期の意識不明になった場合、誰にも管理できない状態になる」という共通点があります。次の章で、それぞれ「放置するとどうなるか」「事前に何ができるか」を一覧にします。
【棚卸しリスト】個人事業主のデジタル資産、死後どうなる・事前対策
ネットショップ運営者が持つデジタル資産は8種類に整理できます。まずは自分がどれを持っているか、表でチェックしてください。
| 資産の種類 | 具体例 | 放置すると死後どうなるか | 事前にできる対策 |
|---|---|---|---|
| ネットショップ本体 | STORES・BASEのアカウント | ログインできる人がいないため、注文対応も出店契約の解約もできず放置される | ログイン情報と運営方針をエンディングノート等に記録。継続 or 閉店の希望を明記 |
| 決済サービス・銀行 | STORES決済の入金口座、ネット銀行、PayPal | 通帳のないネット銀行は存在自体に遺族が気づけず、残高が「迷子の資産」になる | 金融機関名・口座番号だけでも家族や専門家に伝わる形で記録しておく |
| ドメイン・サーバー | 独自ドメイン、レンタルサーバー契約 | 更新料の引き落としが止まった時点でドメインが失効し、サイトごと消滅する | 契約先・更新月・支払い方法を記録。自動更新の解除/継続方針を決めておく |
| SNSアカウント | ショップ公式のInstagram・X・note | 更新が止まったまま放置され、なりすまし被害や誤情報拡散のリスクも残る | 各SNSの追悼・削除機能の仕組みを事前に確認(詳細は後述) |
| 業務用サブスク | 会計ソフト、デザインツール、在庫管理ツール | 解約手続きがされないままカード会社に課金が続く | 契約中のサービス一覧と支払い方法をリスト化し、定期的に棚卸しする |
| クラウドストレージ | Googleドライブ、Dropbox(商品画像・顧客データ) | データの所在が分からず、事業継続や顧客対応に必要な情報が失われる | 保管場所と重要度を記録。個人情報を含むデータは扱いを事前に決めておく |
| 暗号資産 | 取引所口座(仮想通貨) | ID・パスワードが分からなければ、遺族は資産の存在を把握できない | 取引所名・おおよその資産状況を記録し、相続の専門家に相談しておく |
| ポイント・マイル | クレジットカード等の各種ポイント | 多くの規約で失効・相続不可とされ、そのまま消滅することが多い | 各社規約を確認し、失効前に使い切る・家族に共有するなど方針を決める |
こうして並べてみると、個人の写真やSNS以上に「お金が絡む資産」の比率が高いことがわかります。次の章では、この中でも特に実害が出やすいものを具体的に見ていきます。
放置するとどうなるか|具体的なリスク
デジタル資産の放置は「気づかれないまま進行する」のが最大のリスクです。誰かが気づいた時には、すでに実害が出ていることが多いです。
- サブスクの課金が止まらない:契約者本人が亡くなっても、サービス側が死亡の事実を知る手段がないため、自動的には解約されません。クレジットカードや銀行口座から引き落としが続き、口座凍結後は未払い扱いになることもあります。
- ドメイン失効でサイトが消滅する:更新料の支払いが止まればドメインは失効し、第三者に取得される可能性もあります。ショップの実績・URL・検索順位がすべて失われます。
- 決済サービスの残高が引き出せない:ネット銀行や決済代行サービスは、相続手続きに戸籍謄本などの書類一式が必要になるのが一般的です。ログイン情報が分からなければ、そもそも残高の存在に気づけません。
- 顧客データの扱いに困る:注文履歴や連絡先など、個人情報を含むデータが事業用アカウントに残ります。誰が・どう扱うべきかは個人情報保護の観点からも判断が難しく、専門家に相談すべき領域です。
いずれも「事前に一覧化しておけば防げた」ものばかりです。次に、実際に各プラットフォームが用意している公式の仕組みを見ていきます。
主要プラットフォームの死後アカウント対応(公式ヘルプで確認)
Google・Apple・Metaはいずれも、死後のアカウント対応の仕組みを公式に用意しています。生前の設定が前提のものが多く、知らないと使えません。
Google:アカウント無効化管理ツール
Googleアカウントヘルプによると、「アカウント無効化管理ツール」は、一定期間アカウントが使われない状態が続いた場合に、指定した相手にデータを共有したり通知したりする仕組みです。無効化と判定するまでの期間は3・6・12・18か月から選べ、データを受け取る相手は最大10人まで指定できます。共有するデータの種類は相手ごとに変更可能です。
このツールを設定していない場合、Googleは2年以上使われていないアカウントを削除する権限を持っているとされています。事業用にGoogleドライブやGmailを使っているなら、設定しておく価値は大きいです。
Apple:故人アカウント管理連絡先
Apple公式サポートによると、「故人アカウント管理連絡先」は、自分の死後にApple Accountの特定データへアクセスできる人をあらかじめ指定しておく仕組みです。対象になるのは写真・メッセージ・メモ・ファイル・デバイスのバックアップなど。購入した映画・音楽・ブック・サブスクリプションや、iCloudキーチェーンに保管されたパスワード・パスキーなどはアクセス対象外です。
故人アカウント管理連絡先がデータにアクセスするには、生前に発行された「アクセスキー」と、故人の死亡を証明する書類が必要です。日本の場合は死亡証明書ではなく、死亡の記載がある戸籍謄本が必要と明記されています。設定にはiOS 15.2/iPadOS 15.2/macOS Monterey 12.1以降が必要です。
Meta(Facebook・Instagram):追悼アカウント
Facebookヘルプセンターによると、あらかじめ「追悼アカウント管理人」を1人指定しておくと、その人がプロフィールを追悼プロフィールとして管理できます。管理人は投稿の作成・固定、新しい友達リクエストへの対応、プロフィール写真・カバー写真の更新、アカウントの削除などが可能です。ただしログイン・過去の投稿の削除編集・メッセージの閲覧・友達の削除はできません。追悼アカウント管理人を設定していない場合、死後は「追悼プロフィールにする」か「完全に削除する」を家族が申請することになります。Instagramも同様に、追悼化または削除を申請でき、いずれも死亡証明書の提出が必要です。
ショップの公式SNSを運営しているなら、この仕組みを知っておくだけでも「アカウントが放置されたまま残り続ける」事態は避けやすくなります。
自分でできる対策 vs サービスを使う場合|3パターン比較
デジタル終活の方法は大きく3つ。費用と手間、確実性はトレードオフの関係にあります。
| 方法 | 費用の目安 | 手間 | 確実性 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| ①エンディングノートに手書き | ノート代のみ(数百〜数千円) | 自分で全部書く必要がある。更新も手作業 | 低〜中:書いた内容が実行されるかは家族次第 | 資産が少ない・まずは無料で始めたい人 |
| ②パスワード管理ツールの共有機能 | 月額・年額課金が続く(サービスによる) | 中:ツールの導入と、緊急時アクセス設定が必要 | 中:本人が生きている前提の設計が多く、死後の実行フローは別途必要 | すでにパスワード管理ツールを使っている、IT操作に抵抗がない人 |
| ③デジタル終活サービス(デジ・タクセル等) | 買い切り型で数十万円〜(サービスにより異なる) | 低:申込後は月1回程度の生存確認のみ | 高:専門家が契約に基づいて実行し、相続実務まで見据えたサポートがある | 資産や事業アカウントが多い、家族に手間をかけたくない人 |
エンディングノートは無料で始められますが、「誰が・いつ・どう実行するか」までは書いた本人には見届けられません。パスワード管理ツールの共有機能は生前の利便性が中心で、死後の実行フローとしては設計されていないものがほとんどです。「実行の確実性」を重視するなら、専門の契約スキームを持つサービスが選択肢に入ってきます。
ここで、指名検索での競合レビュー記事がほぼない「デジ・タクセル」というサービスを、公式サイトの情報をもとに紹介します。
▶ 個人事業主が抱えがちな「サブスク解約」「SNS整理」「金融機関情報の継承」までまとめて任せられるか、デジ・タクセルの公式サイトで料金と対応範囲を確認する
※本記事執筆時点で、デジ・タクセル(もしもアフィリエイト経由)の提携状況をログイン確認できなかったため、上記は成果報酬の発生しない通常リンクとして掲載しています。提携が確認でき次第、広告リンクに差し替える予定です。
デジ・タクセルとは|個人事業主が使うなら何ができるか
デジ・タクセルは株式会社GOODREIが2026年5月に提供を開始した、デジタル資産の「抹消」と「継承」を専門家が実行するサービスです。料金は買い切り型で月額費用はかかりません。
公式サイトによると、スタンダードプランは330,000円(税抜価格300,000円)の一度きりの支払いで、追加の月額費用・更新料はかからないとされています。プランに含まれる内容は次のとおりです。
- デバイス1台のパスワード保管・引き継ぎ
- 金融機関情報の保管・通知(最大5件)
- 継承者への個別メッセージ(最大3名)
- 端末・クラウドのデータ完全削除
- SNS整理・投稿代行(最大5件)
- アプリ削除・サブスク解約(各最大5件)
- 毎月の生存確認(電話・メール・SMS)
- 相続診断士による情報整理サポート
個人事業主にとって特に関係が深いのは、「アプリ削除・サブスク解約」と「SNS整理・投稿代行」が代行対象に入っている点です。公式FAQによると、生前に契約を交わすことで、本人が不在でも登録済みのサブスクリプションの解約手続きを代行できるとされています(サービス提供事業者の規約により本人確認書類が必要な場合は、遺族の協力を求められることがあります)。ネットショップ公式のSNSアカウントについても、LINE・X・Instagram・Facebook・TikTok・YouTube・noteなど主要SNSのアカウント整理や退会処理に対応するとしています。
運営体制としては、ISMS(ISO/IEC 27001)認証を取得し、契約スキームは弁護士(Sfil法律事務所・坪内清久弁護士)が監修、相続診断士が在籍しているとされています。申込時にスマートフォンを送る必要はなく、万が一の際に専用の返送キットで端末を郵送し、そこから抹消・通知が実行される流れです。認知症と診断された場合や行方不明になった場合にも対応する運用ロジックがある点も、他の「死後限定」の仕組みとは違う特徴です。
デジタル終活サービスの正直なデメリット
専門サービスは確実性が高い一方、費用の大きさと生存確認の手間、家族に知られたくないデータの扱いという課題が残ります。
- 費用が安くはない:デジ・タクセルのスタンダードプランは33万円(税込)。エンディングノートやパスワード管理ツールと比べると、まとまった初期費用がかかります。
- 毎月の生存確認に応答し続ける必要がある:公式FAQでは1回の未応答で即実行されるわけではないとされていますが、電話・メール・SMSでの確認が継続的に発生する点は、煩わしさとして残ります。
- 端末の返送が前提になっている:公式サイトには「パスワード単独での通知には対応していない」「遺族が端末の返送を拒否した場合、パスワードの通知は原則不可」と明記されています。家族が返送に協力してくれない場合、意図した継承が実行されない可能性があります。
- そもそも家族に見せたくないデータの扱いは、契約しても悩みが残る:「見せたくないものは消す」設計自体は評価できますが、何を消し、何を遺すかという線引きは、結局のところ本人が生前に決めておく必要があります。サービスが自動で判断してくれるわけではありません。
デジタル終活サービス全般としても、月額課金型のものを選ぶ場合はサブスクと同じ「解約し忘れ」のリスクが発生し得ます。契約前に、買い切りか月額課金かは必ず確認してください。
私ならこう選ぶ|条件別の結論
資産の量と「実行の確実性をどこまで求めるか」で、選ぶべき方法は変わります。全員に同じ答えはありません。
- ネットショップを始めたばかりで、資産もSNSアカウントも少ない → まずは無料のエンディングノートで、STORES/BASEのログイン方針・ドメインの契約先だけでも書き出しておく。ここから始めれば十分です
- すでにパスワード管理ツールを使っている → 共有機能や緊急アクセス機能を使い、家族や信頼できる人にアクセス手順を伝えておく。ただし「死後にどう実行するか」までは別途エンディングノートで補う
- 複数の決済サービス・ドメイン・サブスクを抱え、資産規模も大きくなってきた → 専門サービスへの投資を検討する価値が出てきます。デジ・タクセルのように、サブスク解約代行・SNS整理まで契約に含まれるサービスなら、遺族の手間を大きく減らせます
- 家族に事業の詳細を知られたくない事情がある → 生前に本人とだけ契約が完結するサービスを選ぶ、または「見せる範囲」を細かく指定できる仕組みがあるかを契約前に確認する
私自身は、今の事業規模ならまずエンディングノートとパスワード管理ツールの共有機能で棚卸しを始め、事業が大きくなって決済サービスや資産の数が増えてきたタイミングで、専門サービスの利用を具体的に検討すると思います。
相続・法律に関わる判断は、この記事の整理だけで進めず、必ず税理士・弁護士・司法書士など専門家に確認してください。
よくある質問
Q1. デジタル終活は何歳から始めるべきですか?
年齢の目安は特にありません。ネットショップの運営やオンラインでの決済サービスの利用を始めた時点で、棚卸しリストを作っておくことをおすすめします。資産やアカウントは年々増えていくため、早めに一覧化しておくほど、後から追加・更新するだけで済みます。
Q2. STORES・BASEのアカウント自体は、死後どうなりますか?
各プラットフォームには「死後の相続専用手続き」は用意されていないのが実情です。ログイン情報が分からなければ、遺族は出店契約の解約や入金の受け取りができません。ログイン情報と運営方針(継続するか閉店するか)を、エンディングノートや信頼できる第三者に伝わる形で残しておく必要があります。
Q3. パスワードをエンディングノートにそのまま書いても大丈夫ですか?
ノート自体が紛失・盗難に遭うと、第三者に悪用されるリスクがあります。パスワードそのものを書くのではなく、「どのパスワード管理ツールに、どういう方法でアクセスできるか」を書く、あるいは保管場所だけを記録して家族に口頭で伝えるなど、直接書き出さない工夫をおすすめします。
Q4. デジタル終活サービスを使えば、相続税の申告もお任せできますか?
デジ・タクセルの公式サイトによると、相続診断士が「遺族が実際に相続手続きで困らない形」で情報を整理するとされていますが、相続税の申告そのものは税理士の業務です。デジタル資産の情報整理と、税務申告は別のものと理解し、申告が必要な場合は税理士に相談してください。
Q5. 暗号資産やポイントも、この記事の対策でカバーできますか?
暗号資産は相続財産に含まれる可能性があるため、取引所名とおおよその資産状況だけでも記録し、専門家に相談しておくことが重要です。ポイント・マイルは多くの規約で相続不可・失効とされているため、生前に使い切るか、家族に保有状況を共有しておくことが現実的な対策になります。個別の規約は必ず各社公式サイトで確認してください。
まとめ
この記事の要点を4行にまとめます。
- 個人事業主・EC運営者は、ネットショップ本体・決済サービス・ドメイン・サブスクなど、放置すると実害が出る資産を多く抱えている
- Google・Apple・Metaはそれぞれ死後のアカウント対応の仕組みを公式に用意しているが、生前の設定が前提
- 対策はエンディングノート・パスワード管理ツール・専門サービスの3択。資産の量と「実行の確実性」で選び方が変わる
- デジ・タクセルのようなサービスは、サブスク解約代行・SNS整理まで契約に含められる一方、費用と生存確認の手間というデメリットもある
まずは今契約しているSTORES・BASE・ドメイン・サブスクを、この記事の棚卸しリストに当てはめて書き出してみてください。それだけで、万が一のときに家族が困る確率をかなり減らせます。
▶ サブスク解約・SNS整理・金融機関情報の継承までまとめて任せられるか気になる人は、デジ・タクセルの公式サイトで無料相談の内容を見る
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